生産者紹介

Grower

佐々木 靖正(株式会社船穂ぶどう園 代表)

Yasumasa Sasaki

シャインマスカットの名産地として知られる倉敷市船穂町で、長年ぶどう作りと向き合ってきた生産者・佐々木靖正さん。
祖父の代は米づくり、父が始めたぶどう栽培を、佐々木さんが引き継ぎました。

もともとは日本国有鉄道に勤め、30代半ばまで会社員として働いていましたが、両親の高齢化をきっかけに就農。ぶどうの世界に飛び込んでから、もうすぐ40年を迎えます。

現在は、妻・佳津子さん、そしてパート2名とともに日々の作業にあたっています。
繁忙期には朝早くから夜遅くまで、休む間もなくハウスに立つ日々が続きます。

「加温機が急に止まったりなど、機械の修理も自分でやることがあります」
国鉄時代に電気関係の仕事をしていた経験が、今の現場でも活きているそうです。

全国的にシャインマスカットの生産量が増える中でも、佐々木さんの自信は揺るぎません。
「岡山のシャインマスカットブランド『晴王』は、人の手をかけて高品質に仕上げている。すそ野が広いほど山は高くなる。だからこそ、自分たちはさらに上を目指すだけです」
そのまっすぐな言葉には、誠実な仕事観がにじみ出ています。

農閑期には夫婦で旅行を楽しみ、現地の美しい景観を楽しみ、おいしいものを味わうのが何よりの歓びだといいます。その柔らかな表情は、現場の職人としての姿とはまた違う印象を与えてくれます。自営業だからこそ、まとまった休みを取ることもできるそうで、そうした時間が日々のぶどう作りへの前向きな気持ちにつながっていると話します。

より生産性を高めるため、船穂町で長く栽培されてきたマスカット・オブ・アレキサンドリアから、時代の変化に合わせて、20年ほど前に主力をシャインマスカットへと転換。試験栽培にも真っ先に手を挙げ、手探りの中で出荷したシャインマスカットは、市場や消費者から高い評価を得ました。以前生産していたマスカット・オブ・アレキサンドリア作りで培った経験が、現在のシャインマスカット栽培にも生かされています。
特に「晴王」のような高品質のシャインマスカットは、「人の手をかけてこそ粒がそろい、美しい一房になります。そのことを知ったうえで味わってほしいです」と語ります。

現在はJA晴れの国岡山船穂町ぶどう部会に所属し、これまでに船穂町ぶどう部会の副会長や岡山県果樹研究会の副会長を務めてきた佐々木さん。
令和4年には同部会全体で総売上額11億円を突破しました。

今後の目標を尋ねると、
「これまでと同じように、良いものをきちんと作り続けるだけです。もっと効率よくできればなおいい。100点のものはなかなか作れないけれど、いつも100点を目指すだけです」と静かに、しかし力強く語ってくれました。
飾らない言葉に、40年の積み重ねが息づいています。
佐々木さんの手しごとが、「晴王」にやさしい甘さとその確かな上質さを与えています。